基武雄の人生劇場

1985年（昭和60年）双発セスナ機を操縦する

21歳の頃から、飛行機雑誌を読み始めた。理由は、経営感覚を磨くにはいい業種だと言うことを何かで読んだ記憶があったからだと思います。

当時は、エアワールドという雑誌で当時1,000円くらい。内容は、戦闘機主体で、編集者に聞くと、旅客機のページを多くすると売れ行きが悪くなると言うのです。

そのおかげか、戦闘機やミサイル等の勉強ができのは確かだし、特に記憶に新しいのが、フォークランド紛争で、フランス製のシュペルエタンダールという戦闘機だったと思いますが、イギリスの駆逐艦を攻撃したことはあまりにも有名で、そのころ、フランスが武器輸出国であると言うことが、一般の人たちにも知れ渡り、一発のミサイルで、何百億円もする駆逐艦を撃沈(撃沈かどうかは記憶にない)するという事ができるという証明をしました。
このミサイルは、空対艦ミサイルで、飛行機から駆逐艦等を攻撃するミサイルです。

戦争の恐ろしさと、当時、鉄の女と言われた、イギリスのサッチャー首相は、クイーンエリザベスⅡ号で出兵させた。
戦争という事実がいかに我々の感覚、経済、ありとあらゆる負担になるかという事を思い知らされたし、国としての主義主張の大切さをも考えさせられた紛争ではあった。

経営の勉強だから戦闘機は関係ないと思ったのですが、戦争のプロセスが経営と同じであるということを19歳の時に、マンツーマンでレクチャーを受けた経験上いい勉強になったことは確かである。

その私が、まさか飛行機を操縦するとは、想像もしていなかった。
　あれは、26歳の時の話である。ある仕事で、奄美大島上空を飛行機で飛び回るというアルバイトをすることになった。
セスナ機の古い機種ではあったが、先生(機長の先生)が、なんと真珠湾攻撃に出撃した経験のある方なのです。この方からも、戦争のレクチャーを受けました。
特に、日本から真珠湾へ行くまで聞、攻撃の事やドックファイトなどです。

いよいよ、飛行が始まった。初めてのセスナ機で確か9名載りで、エンジンを始動するとプロペラが回り始めて・・・いざ滑走をして、離陸した瞬間、セスナ機は滑走路を離れた瞬間に左右にに大きく揺れ・・・一瞬死ぬかと思った。が、機長は平然とした顔をしている。(事前に横風が離陸の際に機体に受けることを知っていた。)

そして、アヤマル岬上空手前から赤木名上空を通過して、水平飛行に移ってから、機長が「はいどうぞ」と、言うのだ。

つまり、私に操縦しろと言うのだ、いくら操縦桿が2つあっても、宙に浮いているのだから恐怖感は100%をとうに超していた。2月というのに、操縦桿を握る手からは冷や汗がズボンに落ちていた・・・。それを見た機長は、苦笑いなのです。(私は顔面蒼白)

操縦は機会あるごとに繰り返され、水平飛行の際には私が操縦桿を握ったのですが、宙に浮いている機体をまっすぐに飛行させるという難しさ・・・そうかと思うと、大島海峡(奄美大島・瀬戸内町の奄美本島と加計呂麻島の間の海峡)を左旋回の際には、左側にある窓ガラスがなんとグラスボート状態になっているではないか、そのまま、左に落ちていくように感じた瞬間、墜落していくような感じがして生きた心地はしなかった(笑)。

その他には、タッチアンドゴー、プラスとマイナスのGの体験(ヒャッとするのと、気分が悪くなるGの経験)や、航空写真を撮影する際に3．2．1．のカウントダウの0の時に機体は、左に90度傾いた瞬間、元に戻るという、これが感覚麻痺と気分が悪くなると言う、今思い出しても気分が悪くなるという経験をさせてもらいました(笑)。

離陸、着陸の際には、JAS(日本エアシステム)やANAの航空機が優先で、我々のようなセスナ機は、緊急時以外は、上空で旋回をして待機をしなければなりません。機体にはレーダーがないので、なるべく空港から離れて、着陸していく航空機を確認しながら我々の着陸の順番を待っていました。

この着陸というのが、離陸よりも難しいのですが、私は、面白かった。もちろん、操縦桿は握っていないが。
それよりも、離陸は面白いです。

滑走路の中央にセンターラインが引いてあって、その上を機体の前輪をあわせて、時速150キロぐらいだと思いますが滑走するわけです。操縦桿を引いた瞬間、お尻から持ち上げられる恐怖感がありました。なれてくると面白くなってきますが・・・。

さて、ある日のこと、沖永良部経由沖縄へ行くことになりました。ちょうど、宇検村焼内湾(うけんそん・やけうちわん)上空にさしかかった時に、焼内湾は、夕日に輝き、黄金色なんです。一瞬、心の中で「時間よ止まれ」と叫んだ。そして、翌日は、名

瀬市内の夜景を見ることができ、以外にも、綺麗だったのには驚きました。
※奄美大島宇検村情報

※米軍のヘリコプター

ある日のこと、米軍のヘリ（機種はわからない）が奄美空港に飛来してきた。これは、輸送用のヘリで、そんなに大きくはなかった。機長ももちろん、こういうのは好きだから、一緒に見学をした。機長曰く、機体内の配線等がむき出しになっているのは、戦争の際に、即、修理ができるようにしているためだという。

もう一つ、ヘリコプターの話しを。

対戦車用のヘリに、「コブラ?」というヘリがあるのですが、同等機種が飛来した際には、コクピットを覗かせてもらった。ともかく、狭い、のにもか変わらず、パイロットがでっかい人で・・・。これで終わり。

※海上保安部のビーチキングエア機

この機体が飛来したときに、機長が、「憧れの飛行機」だという。時速40キロは出るらしく、スマートな機体は、なんとなく八頭身美人なのだろうか。お願いして載せてもらった。いや、見せてもらったと言うべきだろう。離陸はしないから（笑）。
1機ほしいような機長の目つきだった。

※ドルニエ機の登場

ドルニエ228機は、ドイツ製で、エンジンは、アメリカのエアリサーチ社製だったと記憶している。
この機体は（現在は使用していません）、日本エアーコミューターの機体で、奄美群島の離島間を飛行する機体で、19人乗り。これが、また、島民には評判が悪い。小さい物だから、「危険」だというのだ。おいおい、大きなジェット機が一番怖いと言うことを全く知らない。

もっと最悪なのが、搭乗者数が、19人なのと、飛行時間が短いので収益率が悪いという。日本の空では、この機体が初めてなのだが、ドイツでは立派な飛行機メーカーで、飛行艇を製造した歴史を持っていて、ドイツと言えば、やはり、ベンツとBMWのイメージが強すぎるのだろうか。

※自衛隊機C-１輸送機

この機体は、日本が戦後最初に製造した輸送機で、ジェットエンジン搭載の機体です。残念なのが、沖縄復帰以前の開発なので、北海道から鹿児島までしか飛行できないと言うことと、積載量が少ないという欠点がある。（現在は、新しい機体を製造する計画が進行中）

さて、この飛行機も、コクピットを見せてもらった。なんと、川崎重工業のマークが操縦桿にしっかりと張り付いているじゃあないか、そこで、自衛隊員に、「カワサキ750（とってもかっこいいオートバイ）のハンドルをねじ曲げて操縦桿にしたなぁ・・・」これが、以外にも、大受け下のだぁ。

しかし、この飛行機は、ジェットエンジンなものだから、うるさいという物ではない。耳を押さえてもまだうるさいのだ。離陸していく際の、爆音とお尻がかわいいのがいまでも印象に残っている。

※JASの機長たちも私の操縦説明には、顔を見合わせて唖然とする。

確か、1996年の初め頃だと記憶しているのですが、10名で、東京ツアーの添乗員兼写真撮影係をしたことがあります。幸いにして、帰りの東京から奄美大島までの直行便は、気流もよくいい飛行をしていた。

そして、コクピットを見学できるというアナウンスがありました。(現在は、ご存じのように、全日空機乗っ取りの際に機長が死亡したために、コクピットの飛行中の公開はしていません。機長さんのご冥福をお祈り致します)

「コクピットを見せてくれる」と、いうのだ。待ってましたとばかりに、機械好きなおじちゃんと一緒に、コクピットの見学をした。
その際に、私が、飛行機の操縦方法を説明した。次は、仲のいいおばちゃんを誘って見学。また、同じように説明をした。

1.「左側が機長さんで偉いんです」と、言った瞬間、「今日は、私も機長です」と、副操縦士の席に座っている人が言う。この日の飛行は、ベテラン機長が、飛行状態を教えていたのだろう。
2.ダッシュボードの説明
3.計器類の説明
4.この場では、ちょっと言えない所の説明。
すると、機長が、サービスであることをしてくれた。これが、プロペラ機とジェット機の操縦が違う点だったのか。

次の瞬間、機長が、「当社（JAS）の広報ですかぁ」と、私に聞いてくるから、「奄美大島上空で3時間操縦したことと、先生が、真珠湾攻撃に出撃した人に教えてもらった」と、いうと、2人の機長が顔を見合わせて唖然としていた。
プロでも、こういった教育はなかなか受けられないと思います。

確か、1996年だったと記憶していますが、東京ツアーの帰りの東京→奄美大島間の飛行途中の際に、コクピットの見学ができるというアナウンスがありました。(現在は、ご存じのように、全日空機乗っ取りの際に機長が死亡したためにコクピットの公開はしていません。)
奄美大島行きはJALツアーズがお得です。

飛行機を操縦したことによって得た教訓。
1．戦争をするという事への大きなリスクと資金
2．航空会社の経営の厳しさ
3．一機の飛行機を飛ばすということは沢山のお金がいる
4．搭乗の際には、私も一緒に操縦をしています
5．2001年9月のテロの映像を見ていて、どういった操縦をしているかが分かること。あまりにも、パーフェクトな計画だった事がよく分かります。これ以上のコメントはしません。ご冥福をお祈り致します。
6．当社の経営は、全日空を意識した経営をしています。
7.現在のLCCに関する基本的な考え方も教えていただきました。